理想の恋愛関係
球体には見覚えが有った。
相変わらず苦しそうな息遣いで私の目の前に立った丸いシルエットは、今の瞬間まですっかり忘れ去っていた見合い相手、袋小路さんだった。
「栖川さん、久しぶりです」
「あ、はい……お久しぶりです」
とりあえず軽く会釈したけれど、内心憂鬱な気持ちでいっぱいだった。
消去したはずの思い出が蘇って来る。
だいたいなんで袋小路さんがここに?
怪訝な顔をする私に、袋小路さんはなぜか身体を左右に揺すりながら言った。
「栖川さんは少しも変わってないですね」
「そうですか? 袋小路さんも……」
変わってないと言おうとしたけれど、言えなかった。
結構変わっているように見えた。
更に丸く、大きくなったような……それ程時間は経って無いのに、なんて成長率。
私の半ば唖然とした心情に気付かず、袋小路さんは話を続けた。
「栖川さん、良かったらこれから食事でもどうですか?」
……どうして突然食事?
訳が分からないけれど、どっちにしろ行くわけが無い。
丁重にお断りしようとした瞬間、少し離れた所からこちらを見ている優斗君の姿を発見した。
相変わらず苦しそうな息遣いで私の目の前に立った丸いシルエットは、今の瞬間まですっかり忘れ去っていた見合い相手、袋小路さんだった。
「栖川さん、久しぶりです」
「あ、はい……お久しぶりです」
とりあえず軽く会釈したけれど、内心憂鬱な気持ちでいっぱいだった。
消去したはずの思い出が蘇って来る。
だいたいなんで袋小路さんがここに?
怪訝な顔をする私に、袋小路さんはなぜか身体を左右に揺すりながら言った。
「栖川さんは少しも変わってないですね」
「そうですか? 袋小路さんも……」
変わってないと言おうとしたけれど、言えなかった。
結構変わっているように見えた。
更に丸く、大きくなったような……それ程時間は経って無いのに、なんて成長率。
私の半ば唖然とした心情に気付かず、袋小路さんは話を続けた。
「栖川さん、良かったらこれから食事でもどうですか?」
……どうして突然食事?
訳が分からないけれど、どっちにしろ行くわけが無い。
丁重にお断りしようとした瞬間、少し離れた所からこちらを見ている優斗君の姿を発見した。