理想の恋愛関係
袋小路さんに案内された店は、夜景の綺麗なレストランだった。


「ここのステーキは最高なんですよ」


嬉しそうに言いながら、私にお勧めの品を語って来る。


一体何をしに来たつもりでいるのか。


本来なら優斗君と来たかった、妙にロマンチックな店の雰囲気にもイライラとする。


適当に注文をして、気まずい雰囲気のまま料理を待つ。


テーブルに料理が並べられると、二人共無言で一気に食べた。


袋小路さんの食欲は、呆れる程だった。


優斗君の三倍以上は食べている。


しかも、すごく美味しそうに。
完全に話については忘れているように見えた。


黙っていたら何時までも食べ続けそうなので、私から切り出した。


「袋小路さん、食事中ごめんなさい。
時間が無いので話が有るなら早くお願いしたいのですが」


そう言うと、袋小路さんはようやくフォークを置いて、私に向き合った。


「すみません、美味しいものを前にすると、食べる事に夢中になっちゃうんです」

「分かってます。
それで話っていうのは?」


イライラを抑えて先を促すと、袋小路さんはまた恥ずかしそうな表情になりながら言った。


「えっと、あれからいろいろ考えたんですけど、やっぱり栖川さんと付き合ってみたいと思ったんです。
最初は料理も出来ない女性は無理だと思ったけど、栖川さんを思い出したり夢に見たり、忘れられないんです。
それで良かったらやり直して欲しくて……」

「……え?」


有り得ない、袋小路さんの発言に私は唖然とした。
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