理想の恋愛関係
気を落ち着かせ、袋小路さんの発言について考えてみる。


つまり……彼は料理の出来ない私とは結婚出来ないと思い、見合いは断った。


でも気が変わり、私と付き合いたいと思ってる。


……有り得ない。


今頃になって、しかもさっき優斗君と一緒にいるところを目にしていながらよくそんな事が言えたものだと思う。


席を立ちたいのを我慢して、私は感情を抑えて言った。


「あの……見合いの件なんですが、私の方からもお断りの連絡をさせて頂いたはずです。
お互い断っていたのですから完全に破談ですし、今更こういった話は困ります」

「え……栖川さんから断った?」


袋小路さんは不審そうな顔をしている。


その顔を見ていると、だんだん不安になって来た。


もしかしたら、袋小路さんサイドにきちんと伝わっていないのかもしれない。


断り辛いとか嘆いていた兄の姿を思い出し怒りが湧いて来た。


今すぐ電話して問い詰めたいところだけれど、とりあえず今は袋小路問題を解決しないと。


「袋小路さん、今後、今日のような事が有ると困るのではっきり言いますが、私好きな人が居るんです。
ですからお付き合いは出来ませんし、強引に誘われても困ります。
会うのも今日で最後にさせて下さい」


きっぱりと言い切ると、袋小路さんはショックを受けたような顔で言った。


「好きな人って……誰ですか?」


あまりの鈍感さに驚愕した。


さっき会った優斗君はなんだと思ったのだろう。
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