理想の恋愛関係
緑と別れた後、真っ直ぐ駅に向かった。


今日は急いで帰る必要は無いから、珍しく時間が余ってしまった。


どこか適当なところで食事でもして行こうかと考え、目についた店に入り注文をした。


ぼんやりと料理を待っている間思い出すのは、緑と……それから緑と一緒に居た男性の事だった。


男性は強烈な印象の持ち主で、初めは何事かと思ったけれど、話の流れから緑の見合い相手だと理解した。



『以前、あんな別れ方をして後悔していたんです。もう一度ちゃんと話し合いたいと思っていたんです』

『見合いを一方的に断るなんて、女性に対して失礼だったと……』


男性は必死の様子で、緑に弁解していた。


その言葉から二人の関係を察する事が出来た。




「……はあ」


苛立ちを吐き出す様に、優斗は深いため息を吐いた。


以前、緑は見合いを断ったと言っていた。


『初めから断るつもりだったから、あまり会話も弾まなかったの。
気に入る入らない以前の問題だわ、デートもしてないんだから』


確かそんな事を言っていたはずなのに、まさか緑の方が断られていたとは。
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