理想の恋愛関係
シャワーを出ると直ぐに着信の確認をした。


メールが一つ届いていて、緑からのものだった。


【優斗君、今日は急にキャンセルする事になってしまってごめんなさい。
また都合が合えば、会いたいです】


「……これだけ?」


読み終わった瞬間、思わず呟いていた。


あの見合い相手については、一切触れられていない。


それにどことなく素っ気ない文面に思える。


それよりもいつもなら、電話をして来るのに、なぜ今日に限ってメールで済ますのか。


まだあの見合い相手の男と一緒なのだろうか。


再び機嫌悪く考え込みそうになって、慌てて気持ちを切り替えた。


こんな事を考えても仕方ない。


【大丈夫、気にしなくていいから】


簡潔なメールを返信すると、頭の中から緑と見合い相手の姿を消し去った。


それから数日経っても、緑からの連絡は無かった。


まさか、本当にあの見合い相手と付き合う事になったのだろうか。


気が付けば、そんな事ばかり考えていた。


正直言えば、気になって仕方ない。


それに緑に腹が立っていた。


散々、好きだとか言って、強引に押しかけて来たくせに、今頃になって手の平を返す態度を取るなんて勝手だと思った。


一言、文句を言ってやりたい気分だったけれど、緑に気にしていると知られるのはもっと嫌だった。


結局、何も行動を起こさずに、イライラと毎日を過ごしていた。
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