理想の恋愛関係
しばらく無言で黙々と作業をしていると、鈴香が思い出したように言った。


「そう言えばさ、部下の女の子は結局なんだったの？」

「え？ 吉澤さんの事？ 優斗君が言うには相談を受けていたって事なんだけど……」

「相談ね……その子、要注意だね」


鈴香の苦笑い混じりの言葉に私は深く頷いた。

本当に油断は出来ない。


「緑はいつも相談女に彼氏略奪されてるもんね」


その通りだった。


初めは上手くいってるのに、弱々しい女性が相談と言いながら彼に近付き、気付けば二人は付き合っていました……なんてパターン今までに何度も有った。


私からすると、恐怖の相談女だ。


でも今までは敗北を続けていたけれど、今回ばかりは負ける訳にいかない。


「優斗君だけは絶対に渡さないわ！」


決意を新たに宣言する。


「でも、渡さないも何も、緑のものでも無いけどね。
緑の彼氏って訳じゃないんだから」

「……」


鈴香の冷静な突っ込みに、何も言えなくなった。

< 249 / 375 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop