理想の恋愛関係
「緑、いい加減彼の事は忘れなよ」


3杯目のワインを飲み終えたタイミングで鈴香が言った。


「……もう忘れてる。あんな人と結婚しようと考えた私が馬鹿だった」


お代わりを頼みながら言うと、鈴香は呆れたような顔で言った。


「忘れてないじゃない。毎日飲み歩いて……どう見ても失恋のショックから立ち直って無いように見えるけど」


ずばりと言われ、悔しく思いながらも言葉に詰まった。


鈴香の言う通り私は失恋した。


そして、未だに平常心に戻れないでいる。


飲まないとやっていられない。


でもそれはまだ彼を好きだからと言うより、怒りが収まらないからだった。


いつまでも怒りを消化出来なくて、だから当然優斗君の事も忘れる事が出来ないでいた。


「いつまでも怒っていても仕方無いでしょ? 好きだって伝えても振り向いてもらえなかったのなら、諦めるしかないんだし」

「……好きだなんて言ってないけど」


私がボソリと答えると、鈴香は驚いた様な顔をした。


「え? 言ってないの? じゃあ別れの時何話したわけ? 修羅場になったって言ってたじゃない」

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