理想の恋愛関係
な、なんで龍也がここに?


どうしてこうどこにでも現れるんだろう。


しかも都合の悪い時に限って!


「そんな嫌そうな顔するなよ」


そんな無理な注文しないで欲しい。


「……ここで何してるの?」


早く帰れと言いたいのをグッと堪えて言う。


「外回りの帰りだ」


それならわざわざ私に声をかけないで会社に帰って欲しい。


「そう。私は待ち合わせているところだから」


そう言って龍也から目を逸らした。


ついでに数歩移動する。


本当は100メートル位離れたい所だけど、優斗君と待ち合わせしている以上、死んでもここは動けない。


無視の体制に入った私に気付いているはずなのに、龍也はしつこく寄って来た。


「二ノ宮さんと待ち合わせなのか?」

「……だったら何?」

「やっぱり付き合ってるのか?」


あまりにしつこい龍也に、私のイライラは最高潮になった。


「何でそんな事聞いて来るの? 龍也には関係ないでしょ?」

「関係無い事は無い。昔の恋人の事だからな」

「ちょっと、そういう事声に出して言うの止めてくれない?」


消し去りたい過去なのに。

気持ちも悪い。


「本当の事だろ?」

「ねえ、この前から何なの? 詮索されてる様ではっきり言って気分が悪いんだけど」


キツイ口調で言うと、流石の龍也もムッとした顔をした。




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