理想の恋愛関係
「何か用?」


私の負けないくらい不機嫌な声に、兄は動揺したような声を出した。


「な、何か用って……それが久しぶりに電話して来た兄に言う台詞か?」

「だって、タイミングが悪いんだもの」


優斗君かと思ったら兄だったと言う、この落胆。


「それで何の用?」


もう一度言うと、兄はブツブツ文句を言ってから話を切り出して来た。


「お前、二ノ宮優斗と会ってるのか?」

「えっ、何で?」

「先日、N社の社長のパーティーに一緒に参加したそうだな、噂で聞いた」


またその話か。


うんざりしながら、噂の出所は龍也に違いないと考えていると、兄がやけに厳しい口調で言って来た。


「どういう事だ?」

「どういうって……」

「彼とはどういう関係なんだ? 破談になってから会ってないはずじゃなかったのか?」


兄はしつこく食いついて来る。


なかなか電話を切りそうになかった。


面倒に感じながら、でもちょうど良い機会かもしれないと思った。


「言って無かったけど、優斗君とは付き合ってるの」


昨日からだけど。


「つ、付き合ってる? つまりは結婚も考えてるって事か?!」
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