理想の恋愛関係
優斗君は私を制して、兄に向き合った。


「ゆ、優斗君?」


一体、何を言う気なんだろう。


心配のあまりオロオロする私とは正反対に、優斗君は落ち着き払った態度で兄に話しかけた。


「栖川さん、お久しぶりです」


優斗君は言いながら、頭を下げた。


対して兄は異様に偉そうな態度で、優斗君を見下ろす様にした。


まさに上から目線。



確かに久しぶりですね。婚約破棄の話し合いをして以来ですから」


その態度と、嫌みったらしい口調に、私の苛立ちは最高潮に上り詰めた。


私が夜も眠れないくらい楽しみにしていたデートの邪魔をしただけでなく、優斗君にこんな攻撃的な態度をとるなんて。


もう我慢出来ない。


思いっきり文句を言おうと、口を大きく開く。


けれど、それより先に、兄が鬼の形相で優斗君に詰め寄った。


「二ノ宮さん、これはどういう事ですか? 緑とは婚約破棄したはずなのに、なぜこんな所に二人で居るのですか?」


優斗君は動揺したように一歩後ずさる。


……この状況……まず過ぎる!


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