理想の恋愛関係
「ちょっと! いきなり何言ってるの?! どういう事ですかとか白々しく言わないでよ、この前話したでしょ?」


兄以上の勢いで言い放つ。


「み、緑……」

「優斗君には私から近付いたの! だからもう放っておいて!」

「ほ、放っておける訳が無いだろ?!」


兄はさっきまでの勢いを失いながらも、まだ文句を言って来る。


完全に兄妹喧嘩を始めた私達の間に優斗君が割り込んで来た。


「栖川さん、緑さんとの事で挨拶に伺わなくて申し訳有りませんでした。
栖川さんが不快に思うのも当然です」

「ゆ、優斗君……」


そんなに下手に出なくてもいいのに。


焦る私の前で、兄は当然、って調子で頷いた。


「本当に。あんな事が有ったのに、まさか付き合ってるとは……」


ああ、本当になんて嫌みな。


早く茜さんと食事なり部屋なり行けばいいのに。


優斗君は真面目だから、深刻に考えてしまうかもしれない。


不安になって優斗君を見ると、予想通り。


険しい表情をして、何か考え込んでいた。


こ、この後の展開に覚えが……。


「確かにこんな風に付き合うのは良く無かったですね」


や、やっぱり……以前妄想した通りの展開に!


「そうですね、はっきり言って不快です」


いい加減黙って欲しい。
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