理想の恋愛関係
「今日、優斗君と一緒に居られて本当に楽しかったし、幸せだった。
この先も一緒に居たいの。だからさっきの事は気にしないで、もう兄にあんな事言わないように言うから!」


精一杯の想いを込めて言ったけれど、優斗君はどこか寂しそうに微笑んだだけだった。


そ、その顔はまさか……。


嫌な予感に身体が凍り付きそうになる。


不安でどうかしそうな私に、優斗君は相変わらず穏やかに言った。


「しばらく会うのは止めよう。その間に栖川さんと話すから」

「そ、そんな……私は優斗君と別れたくない!」


あまりにショックで、声が震える。


優斗君は私を落ち着かせようとしているのか、更に優しい口調になった。


「別れるなんて言ってないよ。ただちゃんと栖川さんにも話して納得して貰おう。緑さんにとってはたった一人の兄だろう?」

「……でも」


優斗君とやっと付き合えてまだ一度しか会ってない。


今日を本当に楽しみにしていて、本当に幸せだったのに。


優斗君みたいに、少し会わないでいようなんて考えられない。
< 333 / 375 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop