理想の恋愛関係
「……会いはしたけど、結局断ったわ」


乗り気になったのに断られましたとは言い辛く、見栄をはってしまった。


龍也に続き優斗君までが他の女を選んだなんて、わざわざ言いたくなかった。


選ばれない自分が惨めになる。


龍也は、私の嘘に気付く様子はなく、ホッとしたような笑みを浮かべながら言った。


「緑、俺達よりを戻さないか?」

「は?」


まさかの言葉に、私は思い切り顔をしかめた。


「緑が昔の恋人と友人になれないのは知ってるけど、また恋人同士に戻るのなら問題無いだろう? 考えてくれないか?」

「も、問題無い訳無いでしょう?!」


思わず声を荒げると、龍也は不思議そうな顔をした。


「どうしてだ?」

「どうしてって……何で別れたか忘れたの?」


その言葉に龍也はやっと自分の行いを思い出したのか、バツが悪そうな顔になった。


「あの事は本当に悪かった。反省しているし、二度と同じ事はしない」

「どうだかね……あの時の女子大生とはどうなったわけ?」

「彼女とはもうずっと会ってない。本当の事で嘘は言ってない」


龍也はきっぱりと言い、真剣な目で私を見た。


「もう一度付き合って欲しい」


何を言われても、とても信用出来ない。


「無理。復縁は有り得ないから」


私は、きっぱりと言い龍也から目を逸らした。
< 34 / 375 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop