理想の恋愛関係
「自分が欲求不満だからって、俺に八つ当たりするのは止めてくれ」

「はぁ?!」


龍也の有り得ないくらい的外れな言葉に、私は思い切り顔をしかめた。


「事実のはずだ。自分の恋愛が上手くいってないからイライラしてるんだろ? そこに俺が楽しそうにしてるのが気に入らないんだろう」


龍也は得意気に言う。


確かに、優斗君との事は上手くいってないからストレスは溜まっている。


でも龍也の言ってる事は、何一つ今の私に当てはまらなかった。


「……この際、はっきりさせておくけど、私は龍也と関わりたくないの。
だから八つ当たりしたいとすら思わない。それに龍也を楽しそうだとも思わない、むしろ哀れに感じるくらい」

「……哀れだと? どういう意味だ?!」


プライドを刺激されたのか、龍也は激しい怒りを見せた。


でも私はそれ以上に感情が高ぶっている。


今まで溜めていたものが爆発したように、こみ上げるものを止める事が出来なかった。


「いつも適当な相手と遊びで付き合う事しか出来ない龍也を可哀相に思うわ。結局、本当に好きな人と巡り会えてないって事だしね。そんな人を羨ましいなんて思わない。
私は会えなくて辛くても、いつも心の中にたった一人の人がいる事の方がずっと幸せだと思う。その事に、今この瞬間気付いたわ」
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