理想の恋愛関係
きっぱり断ったはずなのに……。


結局、私は龍也の押しに負けてしまった。


毎日の様に連絡が来たり、プレゼントが届いたり、本当にマメで気が利いていて、いつの間にか龍也からの連絡をそこまで嫌だとは思わなくなっていた。


そして、休前日に龍也と飲みに行き、ワインを飲み過ぎて酔ったせいも有り……ついに誘いにのってホテルの部屋に付いて行ってしまった。




「……っ……んっ」


部屋に入った途端に深いキスをされて、身体から力が抜けた。


龍也は本当にキスが上手い。


勿論、その先も。


今まで付き合った男の中で、一番だと思う。


本当に浮気さえ無ければ、最高の恋人だったのに。


龍也は飽きもせずに、貪るように口を押し付けて来る。


今までなら激しさに何も考えられなくなっていたけど、今夜に限っては、なぜか優斗君の顔が思い浮かんだ。


盛り上がっていた気分が一気に萎んでいく。



「……んっ?!」


龍也は私が集中していない事に気付いたのか、更にキツく抱き締め、唇を割って舌を押し入れて来た。


そのテクニックにまた頭に霞がかかって来る。


優斗君の事なんて考えても仕方ない。


嘘つきで、優しいふりをして実は冷たくて……それにキスだってその先だってきっと下手に違いない。


そんな事をぼんやりと考えながら、私は龍也の背中にしがみつく様に腕を回した。
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