理想の恋愛関係
龍也から解放された時には、すっかり息が上がっていた。


「シャワー使うか?」


欲情した目で私を見つめながら、龍也が言った。


「……先に使って」


そう答えると龍也は分かったと言い、浴室に向かって行った。


まだ力が戻らない身体で、フラフラとベッドに座り込んだ。


流されてこんな事になってしまったけど、ここ最近の龍也の態度を考えればよりを戻す事を考えてもいいかもしれない。


過去の事を本気で反省している様に見えるし、龍也とはいろいろな面で相性がいい。


頑なになり過ぎずに、今後を考えていこうと思った。


しばらくすると、浴室から水の流れる音が聞こえて来た。


それと同時に、規則正しい電子音も聞こえて来た。


音の方を向くと、サイドテーブルに置かれた龍也の携帯が点滅しているのが見えた。


こんな所に置きっぱなしにするなんて、随分無防備だと思った。


同時に、やましい事が無いからなのだろうと思い少しホッとした気持ちになった。


どうしても、まだ龍也を疑ってしまうから。



私が動かないでいる間に電話は一度切れ、それから時間を置かずに再び鳴った。


「……急用とか?」


私は呟きながら、龍也の携帯を手に取った。


そして、画面に表示された名前を見た瞬間、衝撃を受け目を見開いた。


――真優


瞬きして見直しても間違い無い。


龍也の浮気相手、後本命になった女子大生の名前だった。
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