理想の恋愛関係
「……これからは兄の事を気にしなくて済むから良かったわ。 優斗君とずっと一緒に居たいから」


そう思いなるべく明るさを心がけて言ったけれど、優斗君は顔を曇らせた。


「なんだか元気がないな。具合が悪いのか?」

「え?」


私は驚いて優斗君を見つめた。


優斗君は心配そうな顔をして、続けて言った。


「いつもより少食だったし、やっぱりどこか悪いのか?」


それは久しぶりの再会で胸がいっぱいだったからだけど……でも、方向違いでも優斗君が私のほんの少しの変化に気付いてくれるなんて。


優斗君はちゃんと私を見ていてくれてるんだと思うと、嬉しかった。


「心配してくれてありがとう。でも大丈夫だから」

「……分かった。でも何か有るなら話して欲しい。俺でも少しは役に立てるかもしれないし」


優斗君は優しくそう言った。


私は……感情がこみ上げて来て、どうしていいのか分からなくなった。


優斗君にこんなに優しくされて、気にかけて貰って、幸せを感じ過ぎて逆に切なくなった。


優斗君に頼って甘えたくなる。

「……」

「えっ! み、緑さん?」


急に泣き出した私に、優斗君は焦ったような声を出した。


いつもなら心配かけないように取り繕うけど……今は出来なかった。


「……本当は平気じゃ無かった。寂しくて……優斗君に会えなくて、辛くてどうかしそうだったの」
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