理想の恋愛関係
晴れ渡る青空の下、坂の上のチャペルの屋根が柔らかな光を反射しているのが見えた。
絶好の挙式日和の今日、私は慌てふためき、息を切らして坂を駆け上がる。
「緑さん、急がないと始まるよ」
隣を走る優斗君が、急かすように言う。
「分かってるけど……でも足が……」
最近やたらと仕事が忙しくて連日深夜まで働いていた上に、挙式の為のブーケ等の準備で、体力自慢の私もさすがに疲れ果てていた
おかげでこんな大事な日に寝坊すると言う、有り得ないミスをしてしまったし、急な坂道を駆け上がる体力が残っていない。
ああ、辛い。
ヨロヨロとする私に、優斗君が手を差し出して来た。
「掴まって。引っ張るから」
そう言いながら私の手を引き、坂を勢いよく進んで行く。
……なんて頼りになる。
こんな時なのに、惚れ直してしまう。
やっぱり優斗君は素敵。大好き。
うっとりとしながら背中を見つめている内に、いつの間にか坂を登りきっていた。