理想の恋愛関係
メールの文面を見て、血の気が下がる思いになった。


【大事な会議中だって言われてたのにメールしてごめんね、でも離れているから心配で。
やっぱり留学しなければ良かった、龍也に会いたくて仕方ないよ。
あと半年間が寂しくて仕方ない、龍也浮気してないよね、信じてるからね】



……有り得ない。


これが本当なら、龍也と真優は別れていない事になる。


でも龍也は別れたって……嘘は吐いてないって。


不意に龍也の言った台詞が思い浮かんだ。


『彼女とは、もうずっと会ってない。本当の事で嘘は言ってない』


……確かに嘘は吐いてない。


龍也は別れたとは一言も言ってないし、留学してるならずっと会えないだろうし。


つまり私に近付いたのは、彼女に会えない寂しさを埋める為だという事だ。


「……龍也!!」


カッとなり、手にしていた携帯をベッドに向かって思い切り投げつけた。


携帯は、バウンドして音を立てて床に落ちた。


拾う事もしないで、私はソファーに放り投げていたバッグを乱暴に掴んだ。


そのまま、ホテルの部屋のドアを勢いよく開けて外に飛び出した。





「最低!!」


イライラと吐き捨てながら、夜の街を足早に進んだ。

龍也に二度も騙されたと思うと、情けなくて龍也だけではなく自分自身にも怒りが湧いて来る。


なぜ、龍也の嘘を見抜けなかったのだろう。


初めから信用してなかったのに、いつの間にか流されて……いくら優斗君に振られて弱っていたからってうかつ過ぎた。
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