理想の恋愛関係
龍也の事といい、優斗君の事といい、本当に最近酷い目にばかり合っている。


二人とも簡単に人を騙して、不誠実で……・そこまで考えた時、ある事に気付いて私はその場に立ち止まった。


優斗君は、私にとっては不誠実な男だったけど、本命の彼女の立場から見れば誠実だったのかもしれない。


仕事や経済的なメリットを失っても、彼女を選んだのだから。


凄く大きな愛だと思う。


それに……付き合っている時、優斗君は決して私に触れなかった。


自分からは手を繋ごうとすらしなかった。


当時は奥手なのかと思っていたけど、あれは彼女に対して誠実で有る為だったんだ。


今頃優斗君は、貧乏ながらも彼女と幸せに暮らしているに違いない。


きっと彼女もそこまでの決意を見せられたら、決して彼から離れないだろう。


一生ついて行くと思う。


「……」


あれこれ想像していたら、何だか虚しさでいっぱいになった。


大切にされる彼女。


対照的に、優斗君にも龍也にも蔑ろにされる私。


一体、何が違うのだろう。


私なりに努力して付き合っていたはずなのに……。


夜の街を行きかう人々をボンヤリと眺めながら考えた。


でも答えは見つからず、もう溜息しか出て来なかった。
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