理想の恋愛関係
「その様子じゃ龍也の狂言みたいね」


「ホテルに行った事は嘘じゃないけど……でも龍也は真剣に寄りを戻したいって言って来たのよ？　しつこく連絡して来て、だから私は……」


イライラと答える私に、鈴香は意外そうな顔をして言った。


「緑はやり直すつもりだったの？」


「決心した訳じゃ無いけど……正直かなり揺れていた」


「やっぱり、それで傷付いて仕事に気持ちを向けてるんだ」


「そういう訳じゃ……」


「でも、最近の緑は時々辛そうな顔してるよ？」


「それは龍也に騙されたからってだけじゃない、ただ考えちゃうの。どうして私は選ばれない女なのかって」


鈴香は驚いた顔をした。


「選ばれない女って、何なの？」


「私っていつも、付き合う相手が心変わりして失恋するから……何でそうなるのか不思議なの。こっちは真面目に付き合ってるつもりなのに」


溜め息混じりの私の言葉に鈴香は少し考えた後、言葉を選ぶようにして言った。


「私が思うのは、緑は自分の気持ちを伝えるのが下手だって事かな」


「え？」


「ちゃんと好きだって伝えてる？　気に入ってた見合い相手には伝えてないって言ってたよね？」


「それは……でも言わなくても分かるでしょ？　結婚を前提とした付き合いなんだし」


私がそう言うと、鈴香はすぐさま否定した。
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