理想の恋愛関係
「休園日の確認しなかったんですか?」


きっと心底呆れてるのだろう。


冷たい声で優斗君は言った。


「週末だから休みって事は無いと思ったの」


以前来た時も休日だったはずと思いながら言うと、優斗君はチケット売り場の横に貼り付けて有る紙に目を向けて言った。


「改装工事みたいだな」

「改装?」


どうしてよりによってこんな日に工事なんてしてるのだろう。


綿密に立てた計画が全て潰れてしまった。


この辺りは他に楽しめそうな所は無いし、時間だって限られてるのにどうすればいいんだろう。


ショックの余り呆然としていると、優斗君が辺りを見渡しながら言った。


「せっかくだから散歩して行きますか?」

「え……散歩?」

「自然が多いし、気分転換になるでしょう」

歩き出した優斗君の背中を、私は慌てて追いかけた。


緑の木々が立ち並ぶ土の道を、ゆっくりと歩く。

買ったばかりの靴に汚れが付くのが気にはなったけど、澄んだ空気の中の散歩は快適だった。


しかも優斗君と一緒だし。


植物園は残念だけど、こういうデートも悪くないと思った。


へこんでいた気持ちも回復して来て、明るい気分になり優斗君に声をかけた。


「優斗君、あの花知ってる?」


ちょうど良く咲いていた花を指差して言うと、優斗君はチラリと視線を向けて言った。


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