理想の恋愛関係
「いえ、花に関心は無いんで」

「え……でも植物園、嫌だとは……」

「別に好きじゃないけど、どこでも一緒なんで」

「……」


素っ気なく言われ、言葉に詰まった。


私に付き合う事自体が苦痛だから、どこに行っても同じという事なんだろう。


分かってた事だけど、はっきり言われると落ち込んでしまう。


こんな冷たい事、平気で言う人だとは思わなかった。


以前の優しさは、本当に演技だったんだ。


疑いもせず騙されてたけど、こっちが優斗君の本性で私が思ってる以上に冷酷な男なのかもしれない。


地面をじっと見つめながら考えてると、優斗君の声が聞こえて来た。


「ベンチが有るけど休憩しますか?」


顔を上げると、優斗君は立ち止まり私を振り返っていた。


「……そうしたいわ」


なんだか、朝は溢れていたやる気が消えてしまった。


力無く頷いてベンチに向かった。
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