理想の恋愛関係
相変わらず会話の無いまま、並んでベンチに座った。


かなり気まずい空気。


優斗君は気にしていないのか面倒なのか、ボンヤリと前を向いたまま何も言って来ない。


これが私達の距離なんだ。


一月有れば優斗君の気持ちを動かす事が出来るかもしれないと思っていたけど、今はすっかり自信を失っていた。


横目でチラチラと優斗君を見ていると、視線に気付いたのか突然顔を向けて来た。


「何ですか？」

「え……あの……」


まさか、冷たくされて沈んでましたなんて言える訳が無い。


初めから、以前の様に気を遣う事は有り得ないと宣言されての付き合いなんだし。


「何でも無いの……少し早いけどお弁当食べない？」


気持ちを切り替えるように言うと、優斗君は無表情に頷いた。


ランチボックスを開けると、優斗君の表情が僅かに変わった。


「これは……緑さんが作ったんですか？」

「そうよ、久しぶりに張り切っちゃった」


そう言うと優斗君は感心した様子で頷いた。


「すごく上手く出来てますね。意外だな……」


これまでの態度から、言葉にして誉めてくれるとは思っていなかった。


少し前まで落ち込んでた事も忘れて嬉しくなる。


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