理想の恋愛関係
「緑さん?」


黙り込んだ私に、優斗君が怪訝な顔を向けて来た。


「食べないんですか?」

「あ、食べるわ……ちょっとぼんやりしちゃった」


作り笑いを浮かべながら言うと、優斗君はそれ以上は何も言わず私から目を逸らした。


「……」


寂しさを感じながら、太巻きに手を伸ばす。


すっかり食欲は無くなっていたけど、無理やり飲み込んだ。


「そろそろ帰らないと」


お弁当を食べ終えると、優斗君は腕時計に目を遣りながら言った。


「……すぐ片付けるわ」


ランチボックスを急いで片付けベンチから立ち上がった。


それからすぐに歩き出す優斗君を追いかけた。
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