理想の恋愛関係
優斗君との事を気にして聞いて来る割には、あまり応援してくれているようには見えない。


やっぱり周りから見ると、絶望的な程望みなく感じるのだろうか。


弱気になりそうな気持ちを抑えて、夜9時過ぎに優斗君に電話をした。



「優斗君、昨日はありがとう。すごく楽しかった」


そう言うと優斗君は、

「いえ……」

と一言言い、それきり黙り込んだ。


優斗君は基本的に口数が少ない。


必要な場での社交は感じよく、ソツなくこなしているけど、本当の性格は結構人見知りで暗いんだと思う。


気を使わなくてよくなった私に対しては、愛想笑いすらしなくなった。


本当に素っ気ない。


でもそれは、素を見せてくれるようになったと言うことで。


他人から友達にランクアップしたのだと、前向きに考える事にした。



「優斗君、近い内に食事に行かない? 今度は出来れば夜がいいんだけど、都合の良い日が有ったら教えて欲しくて……」


努めて明るくそう言うと、

「都合の良い日?……当分無いですね」

驚くくらいの素早さで、返事が返って来た。


……絶対にスケジュールの確認すらしていない。


さすがに落ち込んでしまうけれど、ここで私が諦めたら終わってしまう。


「じゃあ、昼は? 会社の側まで行くから、ランチでも」


自分でも呆れるしつこさで言うと、優斗君はため息混じりに、

「では、明後日に」

と言った。
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