理想の恋愛関係
8時30分を過ぎてしまった。


優斗君を待ち始めてから、もう二時間が経っていた。


未だに繋がらない携帯電話。



ここまで来ると、さすがに私も気付いていた。


約束を破られたのだと。



私から強引に誘って取り付けた約束だから、優斗君が乗り気じゃ無い事は分かっていた。


それでも優斗君は来てくれると思っていた。


少なくとも、こんな風に土壇場で無視する様な人じゃないと思っていた。


でも……そこまでさせたのは、私のせいなんだろう。


好かれてないと分かっているのに、しつこくしたから。


胸の痛みが全身に広がっていくようだった。

ずっと同じ姿勢で立っていたからか足も痛い。


泣き出したい衝動に耐えるのは大変だった。


もう優斗君が来る事は無い。

諦めて帰るしかない。


頭ではそう分かっているのにどうしても動けなくて、再び電話を取り出してしまう。


これで出てくれなかったら本当に諦めないと……そう自分に言い聞かせながら発信した。
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