理想の恋愛関係
「会ったってどういう事?!」


私は勢いよく龍也に詰め寄った。


まさか、優斗君にまで嫌がらせしてるんじゃ……龍也の事だから有り得ない話じゃない。


そんな事が有ったら絶対に許さない!


龍也は私の態度に苦笑いを浮かべながら言った。


「そんなムキになるなよ。仕事で会っただけだ」

「……」


本当だろうか。


疑いの眼差しを向ける私に、龍也はなぜか楽しそうに話し出した。


「見合い相手、俺の会社に挨拶に来たんだよ。新しく赴任して来たって……随分若いのに肩書きは立派だから気になって調べたんだ」

「……今後も、仕事上のやり取りが有るって事?」

「いや、普段のやり取りに見合い相手が出て来る事は無いだろう。何しろ事業部長様だからな」


事業部長……優斗君の役職を初めて知った。


優斗君頑張ってるんだ……。


自分の事のように嬉しくなる。


その想いが顔に出たのか、龍也が水を差すように言った。


「でも元は会社のトップだったんだから惨めで仕方ないだろうな。自分が継いだ途端に会社を潰して今は使われる身だ」

「ちょっと! 何その言い方、失礼でしょ?!」

「本当の事だろ? 周りも思ってるよ。無能だから会社を潰したって」

「そんな考え方するの龍也だけじゃないの?! だいたい優斗君の事そんなに調べ回っておかしいんじゃないの? 何、企んでるわけ?!」


龍也が、優斗君を馬鹿にしたような事を言うのは許せなかった。
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