今日私は死にました
「貴方は……雅巳君は不思議な人ね。」
彼に優ちゃんが使っていた灰皿を渡すとタバコを取り出して白い煙を吐いている。
風の無いこの空間で行き場所無くして煙がユラユラ見えるところにとどまっている。
「そうかな?イケメンでもないのに女性にモテるのはそのせいかな。」
「正直モテる雰囲気とかには思えないけど、惹かれる気持ちはわからなくもないってとこかな。」
「ルイは何気なく毒を吐くね。」
「雅巳君は止めどなく毒を吐くじゃない。」
いつも一人で引きこもっていたこの部屋に声が二つ。それも笑い声まで響き渡る。
「さて……。」
彼がタバコを消して帰るのかなとなんだか急に寂しくなって黙ってしまう。
「どうしたの?」
「いや、帰るのかなと思って…。」
彼がクスクス笑って寂しいの?と憎たらしい顔を見せて私の顔を覗き混む。
「どうだろね。」
寂しいというよりこの部屋に二人でいた時間なんて久しぶり過ぎて、また一人になるのが嫌だななんて言って良いのかわからない。