今日私は死にました
口の中が酸味で気持ち悪く、目がなかなか開かない。
ゆっくりと見えるその視界に、何処かで見たことがある白い肌の男の子。
「………誰。」
「………ルイ!?」
状況が掴めない私の頭の中は、まず此処は何処だと確認するが見覚えのある壁に、自分の匂いがする布団。
どうやら此処は自宅らしい。
が、どうしてこの人がいるんだろう。
「水飲め。水飲んでうがいしろ。」
「鍵……空いてた?」
雅巳君が私の家にいる。
彼の顔が今目の前にいて、薄れていった顔が記憶と一致する。
「電源くらい入れてよ?心配するじゃん。」
「なんで家…てか私どうなったの?」
「今までみたいに薬ガリガリ何錠も噛み砕いて飲んだでしょ?ハルシオンは即効力が強いから直ぐにトリップするよ。しかも空きっ腹なんて最悪。アルコールで飲んでたら夢遊病みたいに寝ながら徘徊だってするんだ。
幸い家から出てなかったみたいだけど、その時に鍵を開けて玄関で嘔吐して倒れてたよ。空き巣でもこの姿見たら引いて入れないよ。」
薬の怖さを知らないとは言わないが、記憶が途切れるなんて嘘みたいだが、髪の毛が少し固まって服が汚れているからして本当に吐いて倒れてたみたいでゾッとした。
「家はこの前送った時にルイがこのアパートに入るところまで見届けたから場所はわかってたんだけど。さすがに部屋の番号はね。」
渡されたミネラルウォーターを体を起こして飲みながら雅巳君の話を黙って聞く。
「とりあえずアパートの中に入って一つずつ郵便受け見てさ、ストーカー行為で捕まるけどルイ宛のハガキが来てたからとりあえず向かったらこの有り様でしょ?心臓飛び出るかと思った。」