明日の果て
◆序章~闇の瞳

*遭遇


 春も間近の肌寒い夜、きらびやかな栄華をまとった都会の端っこ──

 青年は悪友どもとしたたか飲んだ帰り道でフラフラしながら歩いていると、路地に入るビルの間に複数の人影をみかけた。

 いつもなら、

「また誰か絡まれてるんだろう」と気にも止めないのに、 何故か俺の目を止めさせた。

 声や動く影と足音から、1人の男が6人ほどの男たちに囲まれている。

 どうやら、その男に青年の目は引かれたようだ。

 雲に隠れた月のせいでハッキリと見えない姿なのに、何故か気になった。

 気付かれないように少しずつ歩みを進めて、そうしてようやく、男の姿をくっきりと捉える距離まで近づいた。
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