明日の果て

「お疲れです~」

「はーい、お疲れさま」

 眠い目をこすり発すると、まだ仕事の続く人たちが応える。

 そんな剛の背中を見送ったあと、女性2人が互いに距離を縮めて声を低くした。

「あの子、ここ1年の記憶がないって聞いたけど、ホント?」

 短く切った髪を整えながら問いかける。

「どうやら、本当らしいわよ。自分が何をして、どこにいたかも思い出せないんですってよ」

 肩までの髪を茶色く染めた女性はそれに答え、いかにも仕事をしている風に手元を装う。
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