明日の果て
 そんな風に日々は過ぎ──気がつけば半年が経過していた。

 無くした記憶にも執着が消え、真里という恋人も出来て充実した毎日を過ごしている。

 時折、無くした記憶の苛立ちに襲われる事はあっても、それに囚われる事はなくなった。

 それを話せば、

「恋人の存在が大きいんじゃない?」と言われるが、どちらかと言えば逆な感じはある。

 真里の黒髪に、何故だか無性な苛立ちを覚える時があるからだ。

 怒りや鬱陶しさとかじゃない、別の何か──それが心の奥を騒がせる。

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