明日の果て
 疲れた体を癒すように伸びをした瞬間──

「!」

 背中に違和感を感じてゆっくり振り返る。

「──っなん?」

 見えたのは真里の泣きはらした顔、そして腰に押し寄せてくる痛みに顔をしかめた。

「剛が悪いのよ」

 震える声で絞り出し、涙を流して走り去った。

「う、そだろ」

 落ちるナイフを見つめ、腰を押さえる。

 事件とかって、こんなに突然に起こるもんなのか?

 ぼんやり街灯を見つめながら考えた。
< 140 / 153 >

この作品をシェア

pagetop