明日の果て
 旅館は山奥だけあって、道は緩やかなカーブを描いている。

 もちろん塗装はされていて、アスファルトだ。

 夜風を心地よく感じながらブラブラと歩いていると、何だか焦げ臭い。

 その臭いを追うと、カーブの処で下から煙が上がっていた。

「えっ、まさか車とか落ちたか?」

 駆け寄ろうとする剛の足を止めたのは──

「なんでだよ。なんでおまえがここにいるんだよ」

 崖下を見下ろしている人影が見えたと思ったら、それはジェティスだった。

「おまえがここに来たから、俺がいただけだ。おまえを追いかけてる訳じゃない、おまえが俺に近づいているんだ」

 ジェティスは驚く風も無く、剛を見据えた。
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