明日の果て
「あんた、さっきの言い方だと人間じゃないってことだよな」

 ジェティスは眉をひそめ、しばらく剛の目を見つめて沈黙した。

 そしてふいに、

「今はまだ知らない方がいい。できればこのままずっと知るべき事じゃないが」

 つぶやくように発すると、強い風が剛の視界をさえぎり、風が止んだ時にはすでにジェティスの姿は消えていた。

「……」

 空を見上げる剛の耳には、鳥のはばたく音が微かに残っていた。

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