明日の果て
 言い方は悪いが、「悪い奴を退治してる」感じだった。

 普通にしてるよりも、ああいう態度でいた方が正直、寄ってくると思う。

 あのスロスって人も、(人間じゃないだろうけど)軽いしゃべり方でカチンとくる奴はいる。

 でも、俺は悪人じゃない。何故だか2人の口調に苛立ちも腹立たしさも起きない。

 きっと、そういう処も1つの目安として、善悪を計っているんじゃないだろうか。

 剛はしつこくジェティスが翼を出すのを待った。

「やっぱ帰れ」

「あっ!? ひでぇっ! 見せろよコノヤロー!」

 いつもの通りにジェティスが腕をサッと振ると、剛ははじき飛ばされるように現実に戻された。

「あのやろうっ!」

 寝起きのひと声は小さなマンションに広く響いた。

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