明日の果て
「知りたかったんだろう? だから教えてやったんだ」

「なんでおまえが怒ってんだよ。俺が先に怒ってたんだぞっ!」

「人が死ぬ瞬間を平然と眺めていられる事は、俺の望んだ事じゃない」

「なんだよ、おまえは平気なくせに」

「お前がそう思っているからそう見えるだけだ。それに俺は人間じゃない」

「なに勝手なこと言っ──」

「何をしている」

 突然、背後から聞き覚えのない声がして剛は振り返る。

「!」

 そこにいたのは、背中までの美しい黒髪をなびかせた赤い瞳の女性だった。

 手入れしているようには見えないが、艶やかな髪に整った顔立ち、吊り気味の目尻は文句のない美人だ。
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