明日の果て
「デイトリア様」

 ジェティスは翼を仕舞い、軽く会釈した。

「えっ!? こいつが? いや、この人が……」

 女は際立きわだった存在感を放ち、剛を威圧するように視線を合わせる。

 見つめられた剛は、いてもたまらず目を逸らした。

 何もかもを見透かされる感じがしたからだ。

 その女は剛をしばらく見つめたあと、ジェティスに向き直り、少し厳しい口調で発する。

「何故、話した、馬鹿な事を。おまえらしくもない」

「すみません。処で、どうして女性型なんです? いつも男性型なのに」

「気分転換に替えてみたんだが、やはりダメだな。仕事もろくすっぽできん。女になった途端にこれだ」

「それでいつも男性型なんですね。ストーカーはいますか?」

「ん、こないだいたなぁ」

 2人は剛の存在など忘れたように、そっちのけで盛りあがっている。
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