明日の果て
オレンジの香りがキッチンから漂う。オレンジペコだ。
剛はキッチンに向かい、ダイニングのイスに腰掛ける。クッキーとティカップが剛の前に差し出された。
ひと口、含むと自然に溜息が漏れる。
「すまんな。ジェティスは少々、気の荒い処があってね。許してやってほしい」
「えっ!? いや」
見透かされていたようで、剛は視線を泳がせた。
そして、上品にカップを傾けるデイトリアの動きを自然に追ってしまう。
ふと剛は、デイトリアとの出会いをジェティスに感謝し始めている事に気付いた。