明日の果て

*声


 剛は変な奴に遭遇した翌日── 酔いが醒めていたのに、二日酔いはキッチリと訪れた。

「こりゃダメだ。会社休もう」

 ズルズルと布団から這いだして携帯を手に取る。

「もしもし、佐藤です。すんません、体調不良で今日休ませて下さい。ハイ、すいません」

 体調が悪いような声色で話すと、なんとか休みは取れた。

 心配してくれる上司の声に、なんとなく悪い気はしながら布団に再び体をあずける。

 しかし実際、気分は最悪だ。

 目が覚めたら覚めたで、昨日の夜の事が脳裏を過ぎり眠る処ではない。

「あいつ一体、何だったんだ?」

 クラクラとする頭で考えていたが、いつの間にか寝ていたらしく、剛は夢の中にいた。
< 7 / 153 >

この作品をシェア

pagetop