明日の果て
 全身黒で固めたファッションは見惚れるほどだが、今はそんな事どうでもいい。

「誰に向かって話している。デイトリア様は次高神だぞ、マクバード様の次に位を置く神に向かって失礼にも程がある」

 剛に歩み寄り、今にも攻撃せんばかりに右手を見せつける。

「今更すごんだってダメだね。むやみに傷つけないことくらいもう解ってる」

「チッ、そういうとこだけは頭いいな」

「いいだろう。ただし、今日の仕事が終わればだ」

 ため息混じりに発した。

「いいんですか?」

「仕方あるまい」

「やった。それじゃ、早く仕事終わらせよう」

 剛は朝食をかきこみ、急ぐように書斎に向かった。

「まったく。まあ、会わせるだけならいいか」

「そういう訳にもいかんだろうがね」

 食器を片づけながらデイトリアが応える。
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