明日の果て
ひと通り準備を済ませると、デイトリアは赤い瞳に戻していつもと違う雰囲気をタダ弱る。
見惚れる程の存在感は、剛の感情を高揚させた。
「なんで男なんだよ。俺の気持ち台無しじゃん」
折角の高揚感を邪魔されて肩を落とす。
「知ったことか」
「ずっと女のままなら慣れるってば」
「慣れると思うか」
不満げな剛に目を据わらせ、腕を掴む。
「わっ!?」
掴まれた瞬間──フワリと体が浮いたかと思うと、視界の景色が一変していた。
「この風景は」
そうだ、2度くらい見たことがある。
ジェティスに引き寄せられたときに見た光景だが、しばらくそのフワフワした感覚が続いて、剛は軽い車酔い気分に具合が悪くなってきた。