明日の果て
 大理石を思わせる石で造られていて巨大な柱がドンと幾つも据えられ、入り口の上部には剣と盾をモチーフにした紋章が飾られていた。

「どしたの?」

 入るのかと思いきや、入り口の前でデイトリアが何か考え事をしているように宙を見つめている。

「マクバードの返事が無くてね」

 テレパシーみたいなもので連絡してたのか……と剛は納得し、2人は建物に入る。

 まさに「神殿」呼ぶに相応しい荘厳な造りに、剛はぼかんと口を開けてデイトリアの後ろを歩いていた。

 広い廊下を進んでいくと、向こうから誰か歩いてきた。

 いよいよか!? と思っていたら、その影は気さくに駆け寄って来る。

「どうしたの? 人間界に行ってるんじゃ。ああ、遊びに来たの。その人間、マクバード様に会わせるの?」

「マクバードは」

 たたみ掛けるように話しかけてきた相手にデイトリアは短く応える。

 この人は違うのかと剛は、ややホッとした。
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