明日の果て
「うっかりしただけではないか」

 見知らぬ男が当惑気味に応えた。

 顔立ちは日本人とは異なるが、年の頃は20代後半といった見た目だ。

「じゃあ、あんたが?」

「紹介が遅くなった。マクバードだ」

「え、あ。佐藤 剛です」

 無邪気な笑顔と共に右手が差し出され、また思わず手が出る。

 意外な程の気さくさに、剛は戸惑うばかりだ。

 艶やかな黒髪には、整った顔立ちを引き立たせるようにシャギィがかかっていた。

「写真はあるか」

「写真? 見たい。見せてくれ」

 デイトリアが剛を促すように発すると、マクバードはまるで子猫のように素早く反応した。
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