明日の果て
「未来……俺の未来は?」

「時間は刻々と変化していくものだ、先を知ろうとしてはならない。お前は我々に関わり、すでに未来は確固たるものではなくなっている。誰にも予測は出来ない」

「え、それってどういう意味なの?」

「我々には運命というものが無い。だから関わったお前にも運命という選択肢が消えた事になる」

 ティセットが乗せられたトレイを持ちデイトリアが答えながら戻ってきた。

「運命が無いって?」

「我々には運命の糸が存在しないのだ。存在するのは今この瞬間のみ、未来は常に今になる」

「は、はあ……」

 もう何が何だかさっぱり解らない。

 剛は頭が混乱しそうでとにかく落ち着こうと、運ばれてきた紅茶に手を伸ばした。それを見たマクバードも、ティカップを手に取る。

「久しぶりにデイの紅茶を飲んだが、やはり美味い」

 小さく溜息を吐き、剛を見やる。
< 92 / 153 >

この作品をシェア

pagetop