明日の果て
「こいつは人間だな。あなたが寂しくないようにと誰かが連れて来たのかな? ねぇ、籠の鳥の絶対神さん」

「え?」

 恐怖に震えながらも、剛はその言葉を聞き逃さなかった。

「こんな処に閉じこめられて、よくも平気なもんだ」

「私が望んだ事だ」

「嘘をつくな。じゃあ何故、時々ここを抜け出している。その度に連れ戻されているじゃないか」

「それでも、私の望んだ事なのだ」

 やや苦しげに発すると、男は鼻を鳴らして優位に立った事を誇示するように、マクバードに再び話を持ちかけた。

 剛は、いつでも殺せる意識を背中に感じ、冷や汗を流す。

「わたしは我が神族の頂点に立ちたい。それに協力してくれないかな」

「どうしてそこまで?」

 かすれた声で剛が尋ねた。
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