Blue sky ~ 記憶 ~
「………それは…」
 
 
 
「やっぱり覗いてたんじゃないか。」
 
 
華音は勝ち誇った顔で言った。
 
 
「…何でお前泣いてたんだ?」
 
 
 
「………!!」
 
 
華音は驚いた顔で俺を見る。
 
 
「あたしが泣いていた…?ふざけるな、お前の見間違いだ。」
 
 
見間違いだと…?
 
そんなはず絶対無い。
 
 
「涙のあと…ついてるぞ。」
 
 
俺は華音の目の下を指差した。
 
 
「うそっ……!?」
 
 
華音は慌てて目を擦る。
 
 
 
「…うそだ。」
 
 
 
「騙したのか…。」
 
 
そう言うと、華音は鋭い目付きで俺を睨んだ。
 
 
「何で…泣いてたんだ?」
 
 
「お前には関係ないだろ。
 
それと…さっき見たことは忘れろ。」
 
 
華音は俺から視線をはずした。
 
 
「忘れろって……そんな無茶な…。」
 
 
 
「分かったな?」
 
念を押す様に華音は言う。
 
 
「……あぁ、言わねぇよ。」
 
 
俺は華音に圧倒されて、そう返事をしてしまった。
 
 
「ならいい…。」
 
 
そう言うと華音は丘を降りて行った。
 
 
 
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