Blue sky ~ 記憶 ~
「何言ってるんだ……俺は歩けないんだぞ。」
 
 
…だから学校も休んでるのに。
 
 
「松葉杖をつけば良いだけの話だ。」
 
 
 
松葉杖って……。
 
 
「ねぇよ、そんなもの。」
 
 
一般の家にあるわけないだろ、普通。
 
 
「あたしの家にある。だから行こう。」
 
 
 
 
「…はぁ、分かったよ。行くよ。」
 
 
 
「じゃあ、そのまま家で待っていろよ。」
 
 
 
俺は驚いていた。
 
 
華音の家に、松葉杖があるってことにも驚いたけど…。
 
 
 
俺が一番驚いたのは、華音がすごく丘に行きたがっていたことだ。
 
 
あんなに自分から、積極的にものを言ったことは数えるくらいしかない。
 
 
 
そのことに対して、俺は驚いていた。
 
 
 
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