Blue sky ~ 記憶 ~
…さっきから何なんだ。
 
 
胸がもやもやする。
 
 
 
あの華音のあざ……
 
どこかで見た覚えがあるような気が……。
 
 
 
……そんなわけないか。
 
 
 
俺の思い込みだよな。
 
 
 
 
 
「…どうしたんだ神倉。」
 
 
 
「ん?何でもねぇよ。」
 
 
 
 
「…さっき見たものはなかったことにしてくれ。」
 
 
華音は真剣な顔つきで言った。
 
 
「そんなこと言われても…。」
 
 
 
「頼むから…お願いだ……!」
 
 
華音の声は、今にも消えそうだった。
 
 
「そこまで言うなら…分かったよ。」
 
 
 
「……無茶なこと言ってごめん。」
 
 
 
…ごめんもなにも、あんな顔されたら断れねぇよ。
 
 
あんなに必死で困った顔したら…。
 
 
 
それに…
あの華音が俺にものを頼むなんて。
 
 
そんなにあのあざが華音にとって、大きなことなのか…?
 
 
 
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